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分かちあいたいブログ

福祉サービス事業所で働いてます。福祉のこと。他いろいろ 

蛍鑑賞

日記

 
蛍の乱舞が見れる鑑賞スポットがあるというので、夜の山里へと向かった。街灯一つない真っ暗がりの山道を車で走っていく。片側一車線の山道は見通しが悪く、正面衝突や脱輪や崖崩れといった不運の想像をしてしまい、対向車とすれ違うたびに緊張したが、想像に越した事なく臨時駐車場と書かれた看板が見えてきてホッとした。車から降りると、昼間の蒸し暑さとは打って変わって肌寒くひんやりしていた。

 

蛍乱舞の見ごろ時間帯を過ぎての到着で人けは少なく、緩やかな細いS字カーブが連なった一本道を蛍を探してキョロキョロして歩いていると、川のせせらぐ音が近づいて聞こえてきた。先にある小川の水辺付近で漂う蛍が、ふわりふわりと光を放ちながら舞い飛んでいるのが見えて、足早に急ぎたくなったが、暗がりに目が慣れたものの、かろうじて見える小道を踏み外さないように慎重に歩いた。

 

「うわっ!」と言う声がした。声の方を見ると、溝に足を片方落としてビックリして叫んだらしい中年の男の姿があった。曲がりくねった道である事を忘れて上ばかり見て歩いていたのだろうか。一瞬我に返ったが、蛍の光が漂う幻想的ともいえる光景に再び夢中になった。

 

川沿いまで行くと、蛍は警戒を解いたかように近寄ってきては遠ざかり、光をともしては消して、とらえどころなく舞っていた。横を見ると、彼はあっちへウロウロこっちへウロウロと蛍にスマホを向けてカシャカシャしていた。川に落っこちそうな忙しなさに、さっき見た溝に落ちた中年の男と重なって見えた。足元を掬われてはかなわないので腕を掴んで引き寄せた。

 

ぼんやりとした蛍の光が舞うのを立ち止まってぼんやりと眺め目に焼き付けて、その光景を頭の中で一枚の写真に仕上げて山里を後にした。目に焼き付けた風光明媚な光景の思い出を来年も彼と更新したいと思った。