読書 『官能仏教』
「生きることは苦しみだ」と説いたお釈迦さま。であるが、「人の命は甘美なものだ」とも仰られたようです。
愛と性に纏わるお経や説話を紹介したエッセイ集。
甘美とは、エロスありきと言わんばかりの仏エピソードが満載。
平安時代末期の『古本説話集』仏像に恋し妄想を膨らませた法師と天女の物語。
法師は、天女の仏像に恋慕ってしまい、日夜、仏像を撫でて愛でておったそうな。ある晩、目の前に吉祥天女が現れ「結婚しよう」と。法師と天女は、めでたく結ばれ、現世利益も授かり、幸せに暮らしていたのですが、ある日、法師の浮気がバレてしまいました。
怒った天女は、とっと消え去った。
しかし、法師は天女が去ったあとも、貧しくなるわけでなく、評判よく生涯を終えた、とのこと。
『金光明最勝王経』には、吉祥天女の、懺悔の思想にもとづいた誓いがあるようです
私に願いをかけ、わたしの現われを請う者は(中略)わたしの出現を祈りなさい。ならば、その人の睡夢の中にわたしの姿を見せてあげましょう。罪過の真実を告白すれば、皆円満にしてその人の心に随い、諸々の快楽を受けさせてあげましょう。わたしはこの身を終ゆるまで、常にその人を擁護し、困窮することなく、ことごとく皆その意にかなうようにいたしましょう。
なるほど、この誓いのおかげで、この法師、幸せな生涯を送れたわけね。
人間技ではない、さすが天女。神業ですね。
日本古来の天女や尼たち、菩提心へと向かわせる為、時にエロス権力を駆使していたようであります
著書では、女神や尼のエピソード、地獄絵巻から、官能を探求する。
あら、この仏さまって、こんなに大胆な一面もあったのね、美は罪深い。
官能という甘美が、女の業を深くし、苦が伴おうと、愛という錯覚が、信じる心を養うなら、救済となるのかもしれない
- 作者: 愛川 純子,平久 りえ,西山 厚
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2011/03/12
- メディア: 単行本
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