思い出
避けては通れない4種の苦悩を生老病死というらしい(生老病死 とは - コトバンク)
もう10年も前の話です。
利用者として出会った老婦人は、俳句が趣味で、新聞その他に入選した句を集め、自費出版で本を作ったことを話され、『冬薔薇(ふゆそうび)』と題した一冊を 「子供たちが作ってくれたの」と言い、私にもくださいました。
とても素敵な句集で、今でもたまに、本を開きます。
・ダリヤ愛し杖を頼りの足愛し
・とろろ汁 味よく出来て 母恋し
・家守りも重荷となりし落葉焚き
・ごみ出しの誰より早し朝燕
・再会を約せぬ別れ菊人形
・通院を律儀に努め風邪もらう
・足弱のこと忘れて菖蒲園
・一房の葡萄も重し友見舞う
・乳飲ます胸美しき白牡丹
・巾着の鈴よく鳴りて老いの春
・囲碁盤を出して父の日風通す
・最早 死は人事ならず吾亦紅
・一人には一人の暮らし蝸牛
・何もせぬ楽しみもあり秋の宿
・沈む日を止めておきたし墓参り
愛する人と別れる苦しみも句で表現されており、
読むと、ざわざわしたものが小さくなっていく感じがする。
そういうもの、なのでしょう。
この方のように、日々を丁寧に過ごしていきたいものです。
多分、この世は、いとおしいものだと思うから