心のブレーキ
虐待は、人生の困難を乗り越えていくうえで大切となるホームグラウンドを奪う。
そして、人生を空洞化させる。
家事ができない、育児放棄、の利用者さんの支援で、嬉しく思うのは、利用者のお子さんたちが、家事に興味を持ち、役割分担するようになったこと。
それぞれが役割を持ち、行いに自信がある顔つきをします。
ドヤ顔ですね。
警戒心が解けた子供の姿に、たくましく生きてね、と思います。
喪失から回復していくエピソードには、胸が締め付けられたようになります。
読書メモです
・彼らは困難に耐えて生き抜いてきた。その力は敬服すべきものだった。驚きとは、私たちが知らない何かを知っていて、時々、異世界からやってきたような不思議な発言をするからだった。後になって明らかになるのだが、その何かとは、この世界に生きる人の「存在」の限界と範囲についてである。彼らは、それを知っていた。
がまんが生きる支えだった
・幸せになってもいいんだと、自分に言い聞かせるが、何度言っても、底知れない怖さが襲ってくる。甘えようとしたら、黒い雲のような罪の意識が襲ってきて自分を責める。
辺縁の世界を離れて、心理カプセルの中に入る
・彼は生まれてからずっと愛情がつながらない世界、すなわち辺縁の世界に生きてきた。そこでないことをあると思い込もうとしたのが彼の苦しみの源であった。しかし、はっきりとないと分かって、世界が見えた。
愛情が機能する「普通の世界」=心理カプセルの内側と、愛情が機能しない辺縁の世界とである。彼は、辺縁の世界に行きながらも、普通の世界につながろうとして、二つの世界を重ね合わせようとした。それが苦しみだった。二つが違うものだと分かって、生きていると思い込んでいた世界が壊れ、現実の世界が見えてきた。
喪失したものを直視して、それを認めるのって、・・もうなんか。一旦、自分が無くなりますよね。
しかし、被虐待者は、再びつながりの中に戻り、自分と世界をを再構築していくのです。
映画を観ているようなかんじで読みほしました。