読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

分かちあいたいブログ

福祉サービス事業所で働いてます。福祉のこと。他いろいろ 

利用者の自立を応援しますという支援

良かれと思ったことが裏目に出ると、良好な関係に亀裂が走る。先日、仕事でこういうトラブルがあった。

新規の障害者福祉サービス利用者宅でのこと。私ともう一人のヘルパーが交互に家事援助を行うのだが、利用者は、ヘルパーの動きに反応しては手厳しく聞こえる言葉を投げ掛けていた。が、訪問を重ねていくうちに、それは、『嫌、やめて、触らないで』という利用者のメッセージが含まれた意思表示の言葉だというのが分かってきた。

ドキッとする言葉が投げ掛けられる度に、利用者にそれを確認する。長らく続くであろう関係性の構築の為にも、悪意からきた言葉でないことを確認して知っておくことは必要だ。


そうして得た気付きや発見は、ヘルパー間で共有する。そうする事で利用者への理解を深め、地域で暮らす利用者の自立を応援する。


嬉しいことに、利用者は徐々にヘルパーの訪問に慣れてくれ、ヘルパーの訪問を楽しみにしている様子が見受けられた。私も週一回、この利用者の方と会うのが楽しみになっていった。
自分でいろいろ出来るように、家事スキルが身に付くように、という名目でヘルパーは訪問するのだが、私の経験から言うと、そうすぐに家事をこなしていく利用者は稀である。人を変える事はできない。

利用者の苦手なところをヘルパーが補助することで利用者の尊厳が保持でき、ヘルパー訪問の無い日であろうと有る日であろうと、利用者自身が自分の日常を生きて、なるべくなら健やかに暮らせるといいなと願う。利用者の苦手なところはヘルパーに任せていいと思うし、ヘルパーが訪問したとて、訪問時間には限りがあり、利用者が思う優先順位の高い事から済ませていくと時間はあっという間に過ぎていく。


そして開始から半年、訪問は定着したものと、何の気なしで訪問していた。ところが、ヘルパーさんから関係がギクシャクしていると相談された。
『支援だと思って一生懸命にやっているのに上手くいかない』と。
私は言葉に詰まった。支援という言葉に、脳内が轟いた。
このヘルパーさんは、何を持って支援という言葉を用い、まさかとは思うが、訪問時に支援という名のもとに我が子にでも躾るかのように振る舞っているのではあるまいな?

詳しく聞いてみると、そのようであった。

『言い返される』『訪問する度に、やることなす事にケチを付けてくるようになった』ようだ。


***

支援とは、躾や常識の押し付けでない。

支援者として振る舞うなら、最低限知っておきたい事は、本人が望むサービスを提供することである。そして、その先を進むつもりであるなら、本人が自分でやってみたいことをマネジメントし、その可能性を本人に伝えていく。その際にはコミュニケーション能力が必要となる。そして、利用者に代わって他者がニーズを決めつける事のないよう、支配の関係に陥ってしまわないよう、注意しすぎても足りないくらい詰めていく必要がある。

しかし、そもそも、その利用者のクチからはまだ、家事が出来るようになりたいと言った事がない。

どうやら、ここを見切り発車し、なぎ倒し突っ走っていった事が利用者とギクシャクするようになった原因ではないかと思われる。


介護保険の利用者には、高齢者の言われるまま家事を代行しトラブルなくいくヘルパーさんであっても、障害者福祉サービスの訪問では、こういった関係性のギクシャク・トラブルに遭遇する。それは私も。

支援、援助、介助の名のもとに、支援者側が早急にくだした判断によって、利用者の望む現実だった選択肢を削除してしまう事は避けたい。
介護保険まで10年を切った利用者男女問わず私はこう言う。「お国は65歳以上には冷たい。未来のことは分からないんだけど、高齢者になった時、もしかしたらだけど、障害福祉サービスのように今のペースでヘルパーが訪問できるかどうかの保障はない。だから、今こうして共にいる時間には意味がある。今自分がしている事は継続していこう。興味を持った時でいいから、その時一緒に家事をしよう」と。

***

支援により、利用者が家事スキルを身に付けていく事で、その利用者の生活はどう変化するのか。これは利用者に問うばかりでなく、同時にヘルパー自身も改めて問うてみる価値があると考える。いかがでしょうか?


 

 

 

スウェーデン発・知的障害のある人の生活支援ハンドブック―評価に役立つ記入様式付き

スウェーデン発・知的障害のある人の生活支援ハンドブック―評価に役立つ記入様式付き

 

 

 

障害者の雇用・就労をすすめるジョブコーチハンドブック

障害者の雇用・就労をすすめるジョブコーチハンドブック