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分かちあいたいブログ

福祉サービス事業所で働いてます。福祉のこと。他いろいろ 

たわいのない話

日常会話もほどほどに、これといって彼とは語り合うような話しもなく、かといって彼の前では無言であっても気兼ねせず、思いつきの一言二言の言葉を彼と交わして過ごす。

彼はなかなか無口な方で、筋金入りの聞き手といった役回りが板についているようにも見えるが、彼の無口と私の無言の沈黙した時間が経過するにつれ、退屈さを感じているのではないかと気にかかる時があり、他愛もない会話を持ちかけ様子を探るが、さほどそれを気にしているような風でないことが分かると、再び私は気兼ねなく気ままに振舞う。

 

私が無言のときは、彼を観察して楽しんでいる時でもある。顔の輪郭だとか髪型とか、たまに表情だとか、肉付きの良さなど。彼に目がいってしまうのは、家にテレビがないからだと思っている。

 

温厚な性格のようにも見える彼であっても怒る時もある。彼からメールが届いた。

読むと、怒っているようなかんじが伺えるそのメールには、眉毛がゲジゲジになっていると書いてあり、まるで私が彼の眉をゲジゲジにしたかのような内容で、俺の何を見てるのだと言う有様だ。

いつの頃からか、彼の眉は私が整えるようになっていた。眉で顔の印象が変化するのかどうかが興味深かったのだが、次第に眉への興味が失せたため視野に入らなくなっていた事は確かだ。もともと彼は、眉だの髪型だの体型だのを気にするような人柄には思えず、ありのままの眉毛を毎日鏡で見て知っていて、それを受容しているものと思っていた。しかし、こんなメールを送り付けるということは、よほどの何かがあったと推測する。

 

聞けば、車のルームミラーで顔を見て、這えちらかした自分の眉に驚き一大事とばかりに急を要したとの事である。しかし自分の顔をまじまじと見て衝撃を受けたのは彼自身であり、私はさほど驚くようなことでもないと思った。初めからその眉であったのだから。この温度差を感じ取った彼は少し激情しているようであった。

 

面倒だと思いつつも、めったに私に何かを要求するようなことがない彼の眉毛カットのお願いは、散髪屋か私でなくてはダメなようなので今回も引き受けることにした。劇的な変化に目を奪われるようなことはなかったが、彼は満足したようで上機嫌であった。

どんなに彼がゲジゲジ眉であろうと私にはそれすらも調度品のようにしっくりとしている。