『女性たちの貧困 "新たな連鎖の衝撃"』を読み
貧しさにあえぐ女性たちを放置することで、社会になにが起きるのか。取材を通じて実感したのは深刻な"貧困の連鎖"だ。
著書では、親の世代の貧困が子の世代へと連鎖し、特に若い女性たちがその影響を受けている現在進行形の問題であると繰り返し述べらている。
第一章では、一家の大黒柱の死により環境が一変し、外へ出て働く母親のかわりに、その子どもが母親に代わって家事を担うことで、教育の機会と学習意欲が奪われてしまうことを危惧している。
これには以前から思うことがあった。私は仕事でヘルパーをしている。高齢者サービスだけではなく障害者福祉サービスの指定事業所でもあるので、ここに書かれている事例に似たようなケースを受けている。障害があるため母親としての機能を活かすのが困難なようで、小学生の娘がお手伝いの範囲を超えた家事を担っている。
その女の子は、自分の母親が親として機能していないことや、友達の家のようではないということを知っている。散乱した部屋は清潔とは云い難く、その環境をせめてものレベルに持っていくよう、ヘルパーが訪問するのだが、当の母親はというと、問題意識が希薄なため、ヘルパーが家に来るのは、「子供たちが家のことをしないからだ」と子供たちやヘルパーにそう言い、子どもに家事労働を強いている。
学校から帰宅し家族4人分の洗濯、調理を小学生の娘が全て賄っていては、学業の方が疎かになるのを想像してしまう。母親は障害者として今後も福祉関係者から支援が受けられるであろうが、その子供たちは、私の所見ではあるが健常者のようなので、義務教育が終わり進学するにしても就労するにしても、自分という駒を駆使して人生を生きていかなくてはならない。
教育をきちんと受けないまま社会に放たれてしまうため、文書を見せられても、よく理解しないままサインをしてしまい、騙されて借金を負う女性も少なくないそうだ。
ヘルパーの訪問を待っているかのように、外に出て出迎えてくれる小学生の女の子がこの先、著書に書かれているような“30まで生きられればいい”という取材した内容のようなことを思うような未来であって欲しくないと思った。
読み終え
私も母子家庭で子育てをしている。読み終え、取材に応じた女性と何らかわりがない問題を私も感じている。同職の求人の一覧なんかを見ると、よくこれで募集したもんだと賃金の低さに驚く。月給14.5万から16万円、夜勤込みというのを見ると、社会保障費やもろもろを引かれた額で一ヶ月暮らすには、工夫をこらし空腹をこらえる日々ではないかと想像する。著書には看護助手の仕事をするシングルマザーの事例や、妊娠出産が人生に影を落とすことになった女性の事例など、どれもが私の身の上に起こってもおかしくないのが分かる。女性の貧困は身近な問題であると痛感した。