自由を求めて
数年前、セレブ再婚を果たした知人がいる。
婚姻後は旦那に養われ、就労から退いた生活を送る彼女が、屈託の無い笑みを浮かべ半ば呆れた物言いで、女友達を指して「一体〇〇は、いつまで働くのかしら」と言った。
長年、同性の友人として親しく拘わっていたと思われていたので、私はその発言に驚いた。働く女性は呆れられたり哀れみをかけられたりする存在なのだろうか。
発言にも驚いたが、その勝ち誇った態度にも疑問を感じた。
が、こき下ろすという事は、わりと日常茶飯事で起こっているように思う。
しおん 学生時代はがむしゃらに勉強して、校内で一番の成績で東大に入ったとしても、会社では途端に思うようにいかなくなることは、男性にもあると思う。でも会社組織はいちおう男性向けに作られたものだから、うまく立ち回れば、ある程度はどうにかなると思うんです。だけど、女が同じことをしても、何かの拍子に「でも、ブスじゃん」っていう一撃があるんですよ。
うさぎ 最後はブスの壁にぶつかるんだよね
これを読んだ時、全国でそうなのかと驚いた覚えがある。
頑張る女性、能力の高い女性、力強いカンジの女性、超ポディティブな女性を男性は褒めそやした後に「顔はブサイクだけどね」と本人がいないところで言っているのを何度も耳にした事がある。
女の顔パーツが商品とされているわけでもないのに、おかしな事を言うもんだと思わずにはいられない。
先日、私とは一回り以上年上のある主婦である方から話を聞く機会があった。その方が言うには、良妻賢母という役割は嫌ではないが、もう少し自分らしく振舞い活動したいのだと言っていた。その方の自分らしさとは何なのかまでは聞かなかったが、今それが一番の悩みでありストレスなのだと話していた。
その話を聞いて、既婚者であった過去を思いだした。
当時、姑さんや旦那から期待される嫁像は、私には重荷であり、姑や小姑が権力を握る古めかしい因習に従う事にストレスを感じていた。家庭での性別による役割を果たせるような器用さは私には無かった。が、いろいろあって離婚した事でそのストレスは解消されたが、離婚は最終手段だと思うので、そうではなく婚姻生活を続けながら、自分らしく生きたいという価値観を旦那やその親族、もしかしたら自分の身内やご近所さんの思惑や他者の常識とかいうものと、どう折り合いをつけていくのか、道の険しさを想像すると大変だなと思った。
今は喉元過ぎれば何とやらの状態でいますが・・当時は峠をどう越えるのか、なんてイメージが浮かんでいましたね。
この記事は、国連本部で行ったスピーチなのですが、読んで共感を抱きました
エマ・ワトソンが挑戦する“新しいフェミニズム”の取り組み [via: UN Women 2014] - 備忘録√y
女性の権利を叫ぶことが男性を敵視することとほとんど同じになってしまっているケースもあまりに多いことに気付き始めました。確かなのは、そのような流れを絶たなければならないということです
これは、決して男性に媚びているのではなく、私の場合ですが、相手を尊重する姿勢でいる時って、性別の境界を越えているような気がするのです。対立は理解から遠退くような気がします。
実際の自分とは異なる像で互いを定め合うようなことをやめ、ありのままに自分自身を見つめ始めるようになれば、私たちはより自由に生きることができる
先日、身内に不幸事があり、故人は外から見ると、先ほどの主婦の方ではないですが、良妻賢母を絵に描いたような女性であり、そんな真似のできない私の憧れの従姉のお姉さんでありました。ところが亡くなる少し前、旦那の先祖の墓には入りたくないと言ったとか言わないだとかで、亡くなられてから親族の間でトラブルが起こっております。
異なる自分像であっても役割として徹していたのでしょうが、唯一の遺言がソレであったと知り、生前の気苦労が伺える。
大切なのは言葉そのものではなく、その背後にある思いであり、志です
男性が男性として受け入れられるために強引にならざるを得ないようなことがなくなれば、女性もまた引け目を感じて言いなりになるようなこともなくなるでしょう。
男性が主導権を握らなければならないという風潮がなくなれば、女性が抑え付けられることもなくなるのです
冒頭の文面で書いた再婚した知人が、再婚するよう執拗に奨めるのですが、再婚っていいものなのでしょうか。役割を過剰に期待しない男性がいましたら、是非ともなのですが・・
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この対談本を読み、私は、つくづく団塊世代の両親に育てられた娘だな、と。
耐え忍ぶという婚姻生活ならば、お一人さまでもいいかな、と。
上野 親に看取られて死ぬほうが幸せ?
古市 幸せとまでは言わないけど、しっくりきますね
誰に看取られたいかという理想は、両親です。もうね、役割とか、思考に無いの。演技ができないの。
おわりに
中島らも さんは、本当の自由は有り得ないと言っていました。
だからこそ自由を求める精神は尊重したいし、働きかける事で可能性が広がるのなら、傍観者でいる時間は長くない方がいいな