『ドグラ・マグラ』上巻を読んだ
一冊の本を読み終えて、余韻に浸る。次、また何か読みたいな、なんて思っていると、購読させていただいてるメガネ男子さん(id:tarValcno)の
「ドグラ・マグラ」を読んで - tarのブログるっ by @tarVolcano 記事を読み、ドグラ・マグラを読んでみたくなった。
が、なかなか内容が難しそう。私のオツムで一冊を読み通せるかどうか。とりあえず上巻を買ってみた。
有名な著書なので、内容をご存知な方は多いと思う。
私は初めて読んだので(まだ上巻ですが)なんともエキセントリックな!という感想を抱いております。
記憶を喪失した男が、隔離されたコンクリートの四角い部屋の中でいろいろ考える。思い出そうとする。だけど思い出せない。壁の向こうからは自分に訴えかける女の声がきこえてきたが、何のことだかサッパリ分からない。そして博士だという大男の老人が現れ、一切の記憶がないまま、博士に誘導されていく。ジョニー・デップが演じているようなそんなイメージでもって、映画を観てるような感覚で読んでいると、94頁めから、私の中で一挙に空気が一変した。
ドグラ・マグラ物語の中に記述されております問題というものは皆、一つ残らず、常識で否定できない、わかり易い、興味の深い事柄でありますと同時に、常識以上の常識、科学以上の科学ともいうべき深遠な心理の現われを基礎とした事実ばかりでございます。たとえば、・・・
と、ここから、私の頭の中で動いていたジョニー・デップが姿を消した。
ジェットコースターかの勢いでもってドグラ・マグラに引きずり込まれていった感がある。
「脳髄論」「阿呆陀羅経」「胎児の夢」という狂人の解放治療なる計画案には、ふむふむ、へぇーと読み進めた。
私が気になったのは、この作家・夢野久作さんの背景である。
夢野久作をめぐる人々 を参考に読ませていただくと、いろんな顔を併せ持ったお人のようですね。
小説を読み進めるうちに、精神障害者の方の支援においての研修で、その昔、現実にあった精神病者の処遇の資料を見たことを思い出した。それはもう、今では考えられないことが行われていた。あー想像もしたくない。人権など無視されていた時代であり、ドグラ・マグラの時代背景は大正15年。外科や内科とはかけ離れた診断方法や処置のことが描かれているが、いろいろ取材されて、感ずるところがあったのでしょうか。天才だなと思わずにはいられない。
キチガイ地獄外道祭文
これが34頁と長い!スカラカ、チャカポコと面白く読めるのですが、このエネルギーの上昇具合。スゴイと思うと同時に、精神病者の処遇のことが書いてあるので、そこにはやっぱり胸が痛みました。研究も進んでおらず薬も無い時代、人を人と扱うような教育もなされていない時代。なんとも言葉が詰まりますね。
まだ、上巻しか読んでいません。今日は下巻を買おうと思います。