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『憂鬱になったら、哲学の出番だ』 ジャーナリスト・田原総一郎 × 哲学者・西研 の対談書を読む

ジャーナリスト・田原総一郎氏は言う。“先行き不透明な時代だからこそ、哲学の出番”であると。

「何のために生きているのか」「生きるとは何なのか」「どう生きるか」この問いに答えなどあるのだろうか。疑問を投げかける田原氏に対し、哲学者・西研先生は答えていく。

帯には、“世界一簡単な哲学教科書ビジネスマン必読”と書かれており、簡単という言葉にそそられ手に取った一冊。

 

憂鬱になったら、哲学の出番だ!

憂鬱になったら、哲学の出番だ!

 

 引用です

哲学はもともと、多様な立場や利害を持つ人間たちが集まる場所、つまり都市で起こってきた議論の営みです。キーワードは<普遍>と<原理性>。

あるテーマに対して様々な立場や感度から意見が出てくる。それらを繰り込みながら、「こう考えればみんなが納得できるのではないか」というもの(まっとうな考え)をつくり出そうする。これが<普遍性>です。どこか天上に普遍的な真理があって、それを見つけるのではない。みんなが納得できる考えを、議論しながら“作り出そう”とするのです。

では<原理>とはどういうことか。原理、つまり「根っこ」を問う、ということです。

「この問題はどう考えれば、一番根っこから考えたことになるか」。

こう問い直してみるのです。この根っこから考える姿勢があると、議論に普遍性が出てくる。原理性と普遍性はつながっているのです。

 ソクラテスプラトンデカルト、カント、ヘーゲルニーチェ・・

この、“世界一簡単な哲学教科書ビジネスマン必読”の帯に巻かれた書籍にめぐり合わなければ、哲学の巨人の名さえ知らぬままでいた自信がある。身近で関わりを持つ輩に誰一人、ソクラテスを語った者はいない。そういう時ソクラテスは、こんな問いかけをしたらしいよ、という哲学の息吹で私を目覚めさせてくれるような人と今後地域で出会える確立は低いであろう。なので、本により、好奇心を引き出されると同時に救済された感を抱く。読み終え、哲学はやっぱり難しいんだけど、哲学を持つことは、生きるうえで必要だと認識した。

 

 対話して、共通するものを取り出し、何が大事かを言葉で確かめ合う。新たな課題が出れば、何度でも問いかける。

哲学では、「絶対」という答えを出すというより、それに近い「かなり」深いところまで考えを突き詰めていく。なぜなら、宗教でないから。絶対そうとは言い切れないと考えることは、人間関係においても大事なことだと思った。

哲学とは、こんなにも柔軟なものだったのかという印象を受ける。

 

「これは誰もが認めるはずだ」とう普遍性を伴った考えをつくれたときに、それが「柱」となる。

  自分の考えに普遍性があるという確信が持てないと、人間は自立できない。つまり自由になれない。だから、他人と対話し自分で考えることによって、自分のなかに普遍的な考えを育てていく必要がある。普遍性が人を自由にする 

 自らがそこに意味をもてるようになるまでは、「絶対」なことやものにすがろうとしたくなる心境に陥るが、その足場は不自由で不安定なものかもしれない。「かなり」いいところまで歩む道も険しそうだが、自他共、共通する普遍性を探っていく道すがらでは、きっと仲間との出会いが訪れる。“対話をしながら、それぞれが柱になるもの、魂がワクワクするような価値あることをはっきりつかんで、そこに向かってまっすぐ生きていってほしい”というソクラテスのメッセージを生きてみるのも悪くないような。そんな気がしています。

  


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