リカバリー
彼女は、自責の念にかられて数十年間を生きてきた。
けど、とうとう持ちこたえられなくなったのか、過去に戻りたい、と。
いい子にするから、塾も行くから、学校も行くから、過去に戻ってやり直したい、と私を見つめて懇願した。
彼女の言う戻りたい過去とは、学童期であり、到底不可能な願いである。
過去の、原因と結果の現実が、彼女には残酷であったのだろうと推測する。
あの時、こうすれば良かった。
そんなこと、しなければ、こんなことにはならなかったのに。
今の現実は、あの時のあれがあったからだ。
あの時のあれがなかったら、今、こんなではないのに、と退行して後悔を訴える彼女の話しには耳を傾ける価値がある。
なぜなら、生きなおす、という可能性を孕んでいるからだ。
そして、ようやく、関わる者たちは、彼女と向かい合い、未来を考え始める。
まだまだ、この先、長丁場であろう人生を本気で考える時期がきたのだと受け止めた。
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読書メモ
・リカバリーは昔の自分に戻るわけではないのです。リカバリーとは、新しい自分になるための過程です。自分の限界を見つける過程なのです。しかし、限界が新たな可能性を広げていくのを発見する過程でもあります。
・自分の人生に再度焦点をあてる
・自分の病気をより広い視野から見るようになる
・自分の人生には他の役割もあるのだということ
・それぞれの役割において自分には選択肢があることを知り、その中から選択することができるようになりました。それは、私の精神疾患をはるかに超えるものでした。チャンスと新しい発見への数々へと続く道がひらけたのです。
創造のプロセスを歩んでいく鍵となりそうです。
あわせて、こちらも参考までに。
解離性障害のことがよくわかる本 影の気配におびえる病 (健康ライブラリーイラスト版)
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