診断名だけにとらわれては、いけません
障害者総合支援法における居宅介護(ホームヘルプサービス)で出会った、ある精神障害者の方から学んだことを書きます
アセスメントシートに書かれていた診断名のみを意識して、どんな症状なのかな?何に気をつけてサービスを行えばいいのかな?
といった具合で支援がスタートしました
この方は、1時間の調理の支援時、それを食べるのは、いついつ何時で間違いないですか?
と何度も何度も繰り返し尋ねます
いつ、何時にたべるのか、それは何故そうするのか、
支援するにあたり、本人から意向として事前に聞いており、
居宅介護計画書に記しています
そして、その計画で行うという同意も得ています
が、訪問が終わった後、必ずといっていいほど電話による確認が始まります
それは日に何回も
本人には、重要なことなのです
何よりも気になることのようで、きちんと間違いなく、食べねば、と。
調理したおかずは、レンジでチンして翌日に食べるようです(本人希望)
本人の自立度は、高いです
車の運転もされています
ユーモアもあります
人への気遣いもあります
ですが、作り置きしたおかずをいつ食べるべきなのか、という思考に囚われると、たちまち、冷静さを失い、何度も同じことを確認してきます
時には、大きな声で、怒鳴るように
その都度、私は、何度でも同じ返答をします
訪問が終わると、電話で確認してきます
そして、私は、電話でまた同じ返答をします
納得して、電話を切られたように思えたのですが、数分後、また同じ質問の電話が掛かってきます
電話に出られない時は、携帯の伝言メモに・・
伝言メモにも確認したい内容のことを話されています
そこで、フト、疑問が浮上してきました・・・
この方、高齢者ではないし、認知症ではない
記憶に問題はないので、分からないから確認をしているわけでは無さそう
情報提供シートに記載されている疾患を知り、そういう視点を踏まえ支援に入っていくのは当然のこと
けど、私たちヘルパーは 医者が診断を下した病名だけに気をとられて、診断名だけにフォーカスして関わっていると、ヘルパー支援が、実は問題を助長する支援となるのではないか、という気がしてきたのです
利用者さんを尊重して、
とういう基本の心構えのもと、ヘルパーの仕事をしていますが、尊重とはなにかという問いも自分のなかで浮上してきました
尊重は当たり前に大事なこと
そして、利用者さんは、私たちと同じ生活者であり、
地域で生活する者同士という視点を持って、困ってる事を、ヘルパーという専門職が関わることで、エンパワーメントしていく役割である
おかずをいつ食べればいいのか?
と福祉就労先から、担当者を通して、この電話がきた時、これではいけないと痛感しました
今のままの対応では、混乱を助長している
自分自身の無知さ故に、こんな事態を招いていることに気づきました
この方の理解者でありたいと思う気持ちが(尊重しているつもりが)いつでも、電話に出て(出られる時は)
応対している。しかし、その対応の中身の脆弱さが結果、混乱を招いていたのです
この方は就労の定着を目標に頑張っておられる、という背景があることも、視点から、すっぽり抜け落ちていました
ヘルパーの導入、就労の実習
初めてのことばかりで、いくつもの不安が重なっていたのでしょう
確認をやめられない、
これは、ご本人も、相当苦しんでおられます
まずは、その方の障害特性を知ろう
ご本人の気づきによって、経験の積み重ねで、確認行動が減ってきます
気づきに至るまでは、支援者も試行錯誤となるでしょうけど(十人十色ですから)
小さな変化を見逃さないでください
そして、フィードバックしてあげてください
それは、自信へと繋がっていきます
これからも、私が事業所でいる限り、その方をエンパワメントしていくつもりです
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